Bicentennial Man アンドリューNDR114

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  Bicentennial Man / アンドリューNDR114


アンドリューNDR114 [DVD]


コメディ SF ドラマ
1999/12/17 公開
上映時間 132分
製作費  $100,000,000
興行収入 $87,423,861
オススメ度 ★★★★★★   最高8つ星



「人間はめちゃくちゃ」



 ロビン・ウィリアムスが亡くなった
還暦を超えても、精力的に活動しコメディからシリアスな役までこなせるベテラン俳優の死に僕は衝撃を受けた
最近でも「大統領の執事の涙」、「ナイトミュージアム」などに出演し存在感を示していた。
また、日本のゲーム「ゼルダの伝説」の大ファンであり、3DS版「ゼルダの伝説 時のオカリナ」のCMにも出演している
 日本では誰もが知っている俳優とまではいかないだろうが、彼が関わった作品は誰もが観たことがあり知っているだろう
コメディアンとしてキャリアをスタートさせ、後に俳優にも挑戦、その高い演技力からアカデミー賞ノミネート、受賞を経験していた
 彼のコメディ映画は不思議な温かみがあり、観ていてとても気分がよくなってくる
エディ・マーフィーやジム・キャリーのような彼と同じコメディアンとしてのバックボーンを持つ俳優たちとは違った面白さがある
「ジュマンジ」、「アラジン」、「フラバー」
小さい時に何回観たのかも分からないほど観た作品たち、僕の思い出の映画にはいつも彼がいた
その中でも僕が特に好きだった作品がある

アンドリュー

 召使いの万能ロボットアンドリューは他のロボットには無い特別なモノ、「自我」を持っており、自分で考え行動することが出来た。
欠陥のあるロボットは回収し破棄しなければならないが、アンドリューの所持者であるマーティン家はアンドリューを尊重し、修理には出さず、様々な勉強をさせた。
アンドリューは次第に人間とは?人生とは?自由とは?様々な疑問を持ち、人間と同様に扱ってほしいと主張するようになる。
しかし、いくらアンドリューが自我を持っていても所詮ロボットであり、人間にはなれない。
アンドリューは自分の永遠ともいえる時間を完璧な人間になることに費やす
自我を持ったロボットの200年に及ぶ壮大な”人生”の物語である

 原作はロボット三原則を生み出した大作家アイザック・アシモフによる作品である
この三原則をもとに人間に反旗を翻すロボット映画のストーリーは多いが、人間に近づこうとする映画は珍しいのではないかと思う
 少年時代に観て号泣したこの映画
人として認めてもらうため自分の命をも捨てようとするアンドリューのひたむきさに感動した事を覚えている
この歳になっても面白い作品である
テーマがテーマだけに少々哲学くさい映画なのだが、そこにロビン・ウィリアムズのコメディセンス、ロボットと人間の恋などを織り交ぜることにより、説教臭さを薄くすることが出来ている

 SF大作家の境地と言ってもいい原作のためか、映画に対する力の入れようは半端なものではない
製作費は100億円、主題歌は当時一世を風靡したセリーヌ・ディオン、劇中音楽は「タイタニック」でアカデミー賞を受賞した音楽家ジェームズ・ホーナーという豪華すぎる作品である
製作費は1999年の映画でもかなりの高額であり、調べてみると同年公開の「マトリックス」は65億円...
別に金掛けたから良い作品になるとは限らないのは当然だが、正直なところ「どこにそんなに使った?」と言えなくもない...

 そんな大作映画「アンドリュー」だが、残念ながら興行成績は不振に終わっている...
発売予定だった主題歌シングルも中止になってしまっている

 金掛けてるのになんか安っぽいのも理由かもしれないが、200年が長すぎて映画にはまとまりきっていないのが問題かもしれない
劇中の経過年数が異常に早い
アンドリューが「私と同じ心を持ったロボットを探す」と言って旅に出て15年間放浪したりするのだ
未来社会なんだからそんなに時間かけなくても見つかるだろうと突っ込みたくなってしまう
10数年単位をぶつ切りで観せられるため、いまいちしっくりこない
もっと深く、濃く観たいと思ってしまう
原題「bicentennial」は200年の意味なのだが、映画は無理やり200年に尺を合わせている印象を持つ

 また、上記のように哲学性が強いテーマをコメディ、ロマンスを盛り込み取っ付きやすくしているが、これが驚くほど賛否両論である
大半は否なのだが...
映画自体が200年という長い設定、複数ジャンルの盛り込みによって全体的に薄くなってしまっている
SF映画は難解で1回観ただけでは理解できないくらいが楽しいのだが...
ロマンスとしても決して良い作品とも言えない
結果的にSFファンからは総スカンを食らい、映画ファンからも否定的な意見が強くなってしまっている

 良い所ももちろんある
著名な映画音楽家が担当しただけあり劇中曲は荘厳で聞いて損は無い
脚本はイマイチだがなぜか劇中のセリフは良いものが多い
人間になりたがるが機械のため正確なことしか言えず、人間味のないアンドリューに恋人ポーシャが「人は間違いを犯し何が真実で何が違うかを見極め自分を知る」と説明するシーンは深いものがある
他にもたくさん良いセリフがあるので注意して観てみると面白いかもしれない

 劇中終盤はとても良い
なぜそこまで法的に人として認めてもらうことにこだわる?と聞かれ
アンドリューは「昔のクセ」と言い、ロボットだったから人に決めてもらわないと落ち着かないんだと説明する
あくまでも彼はロボットであり人に従うというルールを持っている
だが、それは自分のクセであり、個性としてとらえている
この時すでにアンドリューが人間に限りなく近くなっており、ラストのラストではある人物がロボット三原則を破る行動を見せ驚かされる
人間とロボットの境界線がテーマである本作を上手く着地させていると思う

 思い出深くお気に入りの作品だが、その分非常に残念な作品でもある
個人的には十分面白いが映画の脚本、構成によってはSF映画の名作になりえたかもしれない
面白いかつまらないか実際に観て判断していただきたい

 「映画は時代を映す鏡」という言葉があります
文字通り映画の中には人、文化その時代のすべてが詰め込まれています
もちろんそこに彼もいます
もう新しい作品が発表されることはありませんが、彼が残した素晴らしい作品の数々はいまだ輝きを失わず、生き続けています
映画界の重要な人物の死は非常に悲しいことですがぼくは同時に感謝もしています
彼の作品を見直すきっかけになったことに
彼の死を悲しむことは悪いことではありません
しかし、ただ悲しむだけではいけません
偉大な俳優ロビン・ウェリアムズに敬意を表して彼の映画を見直してみてはいかがでしょうか?




※管理人が独断と偏見で書いたものです。作品内容、本質が著しく違う恐れがありますがご了承くださいm(_ _)m







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